1. 査読(peer review)
本学会において査読とは、クリティカルケア看護学領域の学術的発展および看護実践の発展のために、学会趣旨を同じくする研究者および実践者同士相互の研鑽を目的として、お互いの研究を吟味・評価しあうことをさします。
本学会では、原則として専任査読委員が査読を行います。ただし、英語論文は投稿
論文の内容により、適切な査読を実施するために、専任査読委員以外に外部委員が査
読する場合もあり得ます。
2. 査読の基本方針
- ・日本クリティカルケア看護学会誌(以下、本誌)は、クリティカルケア看護学の専門性構築に資する学術活動の発表の場として位置付けられます。査読はこうした観点から、論文の種類に鑑み、新奇性・創造性・重要性・有用性・発展性の観点で論文の意義を評価します。また、査読は相互研鑽の機会でもあります。
- ・クリティカルケア看護学および看護学研究者・看護実践者の研究力向上を支援する立場から、査読は批判的であるよりも建設的であることを旨とします。課題を指摘する場合には代替案を示し、論文が改善され、投稿者がより成長できるよう支援します。
- ・研究方法の使い方や論文の書き方が未熟であっても、看護学としての意義が高く評価できる場合には、なるべく採用の方針で査読を行い、看護学としての意義がなるべく正当に理解・吟味できる論文となるように支援します。
- ・看護学の学問領域には、多様な研究パラダイムや研究方法を用いるという特徴があります。査読はあくまでも相互研鑽の機会であることを踏まえ、査読にあたっては、投稿者の立場を尊重し、建設的・発展的にコメントします。
- ・査読は客観性・公平性を旨とし、論文の内容が、自身の意見と一致しない、自身の研究と競合する、あるいは相反するなどの理由によって、意見が左右されないように注意します。
3. 専任査読委員の役割
専任査読委員の役割は、論文の内容と構成を吟味し、査読基準(下記7)を用いて評価することとします。専任査読委員は、投稿論文および投稿者のさらなる発展に資することを目的としてこれを行い、査読結果は担当編集委員に提出します。ただし、専任査読委員の役割は担当編集委員への意見を述べるまでであり、掲載可否の最終決定は編集委員会(編集委員および編集委員長)が行います。
4. 担当編集委員の役割
担当編集委員の役割は、論文の内容と構成を吟味し、査読意見をもとに、本誌への掲載可能性について査読基準(下記7)を用いて評価することとします。担当編集委員は、投稿論文およびその投稿者、さらに査読委員の学術上の発展に資することを目的としてこれを行います。担当編集委員は査読意見を投稿者にとってわかりやすい形で調整し、調整意見として投稿者に回答[採用、一部修正(論文の種別の変更不要)、一部修正(論文種別の変更が必要)、大幅修正(論文種別の変更不要)、大幅修正(論文種別の変更必要)、不採用)]、あるいは編集委員長に提出(採用、不採用の場合)します。
5. 編集委員長の役割
編集委員長の役割は、論文の内容と構成を吟味し、査読意見および調整意見をもとに、本誌への掲載可否について最終決定することとします。編集委員長は、投稿者、査読委員、担当編集委員および本学会の学術上の発展に資することを目的として、これを行います。担当編集委員が採用、あるいは不採用の判断をした際に、編集委員長は査読意見および調整意見を受け、担当編集委員の評価を確認します。不採用の場合は、投稿者がその理由を正確に把握できるように、査読意見・調整意見の内容を確認し、必要に応じて加筆修正を行って投稿者に回答します。
6. 査読の流れ
- 編集委員長は、投稿された論文に関し、適切と判断する編集委員に担当を依頼します。
- 担当編集委員は、専任査読委員の中から適切と判断する査読委員2名に査読を依頼します。専任査読委員以外で、査読が必要な場合は、委員長に相談します。
- 査読依頼を受けた査読委員は、1週間以内に諾否の応答をします。査読の諾否は、以下のような条件を勘案して検討します。
①内容からみて適切な査読が可能か、②委員が当該論文に直接関係していないか、③研究トピックが自身の研究と競合していないか、④原則として3週間以内に査読が可能か、ただし④に関し、査読委員は編集委員の求めに応じ最低年に1-2編は査読を担当することを役割としていることに、留意します。 - 査読委員は査読を原則として3週間以内に終了し、査読意見を担当編集委員に提出します。突発的な事故などで、いったん引き受けた査読を期限内に終了できない事由が発生した場合には、速やかに編集事務局に知らせます。この場合の対応策は、編集委員長を含め協議します。
- 査読意見を受け取った担当編集委員は、2週間以内に調整を終了し、調整意見を提出します。
- 担当編集委員が採用または不採用と判定した論文は、編集委員長が内容を把握し、原則として1週間以内に掲載可否を最終決定します。再査読[一部修正(論文の種別の変更不要)、一部修正(論文種別の変更が必要)、大幅修正(論文種別の変更不要)、大幅修正(論文種別の変更必要)]となった場合は、調整意見を投稿者に返却します。
7. 査読基準
査読は以下の項目について、論文の種類に応じて行い、優れた点と課題の両方を指摘します。論文の種別は、査読依頼時に分類されており、変更しません。
論文の種別により査読基準は、下記とします。
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8. 二重投稿の禁止
本誌では、本誌や他の学術雑誌に投稿中または既に採択された論文と内容が同一の論文は、受け付けません。査読の過程でその可能性に気づいた場合は、編集委員会に速やかに連絡してください。なお、二重投稿に関する定義と対応については、「日本クリティカルケア看護学会誌の投稿に関する不正行為防止のためのガイドライン」をご参照下さい。
9. 査読の方法
- 査読の方針を踏まえて、オンライン投稿・査読システムにより、査読を進めてください。
- 査読基準の各項目に関しご検討ください。その上で、[採用、一部修正(論文の種別の変更不要)、一部修正(論文種別の変更が必要)、大幅修正(論文種別の変更不要)、大幅修正(論文種別の変更必要)、不採用]の判定をしてください。ただし、掲載可否の最終決定は編集委員会(担当編集委員および編集委員長)が行います。
- 査読意見は投稿規程、査読ガイドラインを踏まえて、コメントを作成してください。投稿者が論文を改善するうえで役立つ具体的な提案をお書きください。掲載可否の最終決定は編集委員会が行いますので、査読意見の中では、可否について言及しないようにご注意ください。
- 全体としてのコメント(general comment)の他に、「採用」・「不採用」以外と判断された場合は、できるだけline by line によるspecific comment(著者がどう修正すればよいか理解しやすいかに配慮したより具体的なコメント)を記載してください。
- 査読は教育の機会と考えておりますので、査読回数の制限は設けておりません。しかしながら、査読が複数回にわたり継続されるのは、論文の新奇性・論理性があるとともに著者(ら)に能力があり、今少しの議論で「採用」となる可能性が高い場合です。一方その逆の状況で、データが不足していて調査・実験の追加が必要な論文など、採用可能性が非常に低いと思われる場合は1回目の査読で「不採用」の判定をお願いいたします。
- 原則として、1回目の査読で、問題点をすべて指摘し、2回目以降は新たな問題点の指摘は行わないようにしてください。
- 査読結果が[一部修正(論文の種別の変更不要)、一部修正(論文種別の変更が必要)、大幅修正(論文種別の変更不要)、大幅修正(論文種別の変更必要)]の場合には、修正後、当該査読委員に再査読を行っていただきます。
- 内容から投稿者が推定できる場合にも、投稿者やその指導者への連絡は行わないでください。必要な場合には編集事務局に連絡してください。
- 論文の内容(データやアイディア、題名も含む)については、原稿に含まれる情報の所有権を尊重し外部に漏らさないでください。また、査読したことや審査の結果についても同様です。
- 査読原稿は、採択が決定しますと著作権については本学会への譲渡契約を締結しますが、不採用となった論文においては著者に著作権が存在します。こうした観点から、当該論文をWeb上からダウンロードした場合は、査読原稿は査読の全行程が終了するまで厳重に責任をもって保管するか、シュレッダーにて粉砕処分してください。また、査読行程が完了しましたら、すべての関連書類一式はシュレッダーにて粉砕処分してください。
・本査読ガイドラインは、平成30年7月1日付けで施行する
・本査読ガイドラインは、平成31年3月21日付けで一部改訂して施行する